毎月のカラーで、髪がどんどん細くなっていく気がしていた。
40歳を過ぎた頃から、、
鏡を見るたびに目に入るのは、生え際の白髪と、パサついて艶のなくなった毛先。
「また染めなきゃ」
そう思うたびに、なんだか少しだけ気持ちが重くなる。
頭皮がピリピリするのも、あの薬剤のツンとした匂いも、
もうずっと「仕方ないもの」だと思って我慢してきた。
美容室は、前は楽しい場所のはずだった。
「今日はどんな色にしよう」
「もうちょっと短くしてみようかな」
そうやってワクワクしながら鏡の前に座っていた。
でもいつからだろう。
サロンに行くことが「ワクワク」じゃなくて「行かなきゃ」になっていた。
Ra.Mamaのことは、友達の紹介で知った。
正直、最初は半信半疑だった。
「頭皮からベタ塗りできるカラー」とか、「染めながら頭皮エステ」とか、
そんなの本当にあるの?って。
でも、友達の髪が明らかに変わっていたのは事実で。
あの人の髪、前はもっとパサパサしてたのに、、
なんかふわっとしてて、ツヤがあって、若く見える。
「このサロン、ちょっと違うかもしれない」
そう思って、予約した。
サロンに入ったとき、なんていうか、、
家に招かれたような、あたたかい静けさがあって。
最初のカウンセリングで、質問に答えていくうちに、
自分が「自分のこと」を後回しにしていたことに気づいた。
子どものこと、仕事のこと、家のこと。
全部やって、全部こなして、
でも自分のことだけは、いつも一番最後。
そんな毎日を、「頑張ってますね」って、
さらっと、受け止めてくれた。
ハーブカラーの施術が始まって、「匂いがない」ということに気付いた。
ツンとした薬剤の匂いが、しない。
代わりに広がるのは、アロマの香り。
「いい香り、、」って言ったら、
「いいですよね、リラックスできますね」って笑ってくれた。
カラーを頭皮から塗っていくのに、、ピリピリしない。
むしろ、なんだか気持ちいい。
「これ、漢方とハーブが90%以上入ってるので、
染めながら頭皮のエステをしてる感じなんです」
そう説明されて、最初は「ほんとに?」と思っていたけど、
塗布されている間、じんわり頭皮があたたかくなっていくのがわかった。
放置時間が「待ち時間」じゃなかった。
ここでは、アロマの香りに包まれて、
目を閉じていると、いつの間にか意識が遠のいていた。
気がつくと、20分が過ぎていた。
優しく起こされた。サロンで寝たの、初めてだった。
洗い流した瞬間のこと、今でも覚えてる。
髪がキュッと引き締まるような感触。
でも硬いんじゃなくて、、なんていうんだろう、
中に何かが詰まったような、もっちりした手触り。
ドライヤーで乾かしてもらいながら、
鏡に映る自分の髪を見て、思わず声が出た。
「え、、これ私の髪?」
根元がふんわり立ち上がってて、毛先までツヤがあって。
あの、パサパサしてペタンとしてた髪が、嘘みたいに変わってた。
嬉しくて、何度も自分の髪を触った。
恥ずかしいくらい、ずっと触ってた。
帰り道、ふと思った。
私はただ「白髪を染めに」来たんじゃなかった。
なんか、、もっと違う体験な気がする。
頭皮が軽い。
肩の凝りが少し楽になってる。
呼吸が、さっきより深い。
そして何より、、
鏡に映る自分の顔が、朝よりちょっとだけ明るく見えた。
あれから半年。
月に一度のRa.Mamaが、私の「ご褒美の日」になった。
トータルセラピコースで、頭皮のクレンジングから頭浸浴、
ユキノハナのトリートメントまでフルコースで受ける日もある。
頭浸浴で炭酸のお湯に頭を浸している時間は、
まるで温泉に来ているみたいで、
体の力がふわっと抜けていくのがわかる。
週2回のリペアマスクも習慣になった。
お風呂場にジャスミンとレモンの香りが広がるたびに、
「あ、いまちゃんと自分のことしてあげてる」って思える。
いちばん嬉しかったのは、、
娘に言われた一言だった。
「ママ、最近なんかキレイ」
別に体重が変わったわけでも、
メイクを変えたわけでもない。
でも、髪が変わって、
髪が変わったことで鏡を見る回数が増えて、
鏡を見るたびに少しだけ嬉しくなって、
その嬉しさが表情に出ていたのかもしれない。
キレイって、たぶんそういうことなんだと思う。
外側だけじゃなくて。
Ra.Mamaは、髪を整えるだけの場所じゃなかった。
心と体と、髪と頭皮。
全部つながってるんだってことを、
ここに来て初めて実感した。
だから私は、ここに通い続けている。
「白髪を隠しに行く」んじゃなくて、
「もう一度、自分を好きになりに行く」ために。